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前立腺癌、前立腺肥大症について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

前立腺癌(ぜんりつせんがん)は、前立腺に発生する病気、癌の一つ。様々な組織型の悪性腫瘍が生じうるが、殆どは腺癌であり、通常は前立腺癌≒前立腺腺癌の意味で用いられる。日本では癌死亡者の約3.5%を占める。近年は増加傾向。最近では今上天皇明仁もこの病気になった。45歳以下での罹患はまれで、50歳以降によく発病、その割合は年を追うごとに増加する。

欧米では非常にポピュラーな癌で、男性死亡者の約20%でトップを占める。日本と海外の患者割合の差は、食生活の違いにあるとされる。

症状

外腺に多く発生する。初期は自覚症状がほとんどない。進行すると前立腺が腫れて尿道を圧迫される。その結果、

  • 排尿困難
  • 頻尿
  • 残尿感
  • 下腹部不快感

などの症状を生じ、悪化すると尿道が完全に閉塞され尿が出なくなり(尿閉)、血尿が出たり、水腎症になる。また進行するとリンパ節や骨に転移する場合がある。

原因

  • 高脂肪の食事。
  • 乳製品(カルシウムの摂取量が一日600mg以上取る人は前立腺癌発症率が高くなる)。

予防

  • 繊維成分(リコピン)を多く含んでいるものを取る。
    • トマト(毎日トマト、トマト料理を食べると癌発症率が減る。)
    • イチゴ、スイカ

検査

病気の有無については、直腸指診、血液検査(PSA検査)、超音波(エコー)検査、針生検による病理組織診断などで調べる。骨転移の検索についてはシンチグラムを施行する。骨溶解についてはAl-P値やAl-Pアイソザイム、NTx測定も参考となる。

治療

治療については、男性ホルモン(アンドロゲン)の作用を減らす事によるホルモン療法、外科手術による除去、放射線療法、化学療法などがあり、状態によって最適な治療法がとられる。グリーソン分類などによる病理学的異型度が低く、血清中の前立腺特異抗原 の値が低く、他の臓器への転移が認められない場合は、外科手術(根治的前立腺摘除術)もしくは放射線療法で根治することが期待できる。

高齢者や、転移のある場合(PSA値が高かったり病理検査での異型度が高かったりといった、転移の証明はできないものの転移が起こっている虞れが大きい場合を含む)は、ホルモン療法が選択され、エストロゲン製剤、アンドロゲン拮抗剤、LH-RH拮抗剤などが投与される。場合によっては精巣摘出手術が併用される。

前立腺癌の進行は比較的遅く、他の癌に比べると予後がよい。

この癌は「前立腺肥大症」という病気と症状が酷似しているため、早期発見が難しいと言われていたが、近年ではPSA(前立腺特異抗原)検診の普及などにより、早期に発見される症例がほとんどとなり、以前のように骨転移などをきっかけに発見される症例は激減した。

前立腺肥大症

前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)は加齢とともに前立腺が肥大化する疾患。

概要

前立腺は解剖学的には膀胱の下で尿道を取り囲むようにして存在する臓器である。

前立腺から分泌される前立腺液は精液の構成成分で、体外に射精された精液中の精子を保護しエネルギーを補充する働きがある。年齢とともに生殖能力が必要でなくなるために、前立腺は萎縮するか肥大するかの二者択一の道を選ぶ。

昭和30年代(1955年代)ごろまでは、日本人男性のほとんどが前立腺は萎縮の経過をたどっていた。ところが、食生活の向上・欧米化により、現在では80歳までに日本人男性の80%が前立腺肥大症になるといわれている。

症状

排尿障害が主症状で、それに付随して様々な排尿に関する症状が出現する。

  1. 排尿開始遅延:出るまでの息み時間が長いこと。
  2. 尿線細小:尿線が細く、チョロチョロしか出ない状態。
  3. 尿線分裂:尿が散るために便器を汚してしまう状態。
  4. 排尿終末時滴下:尿の最後の方がポタポタしか出ない状態。
  5. 残尿感:排尿直後にまだ出し足りない感じがすること。
  6. 尿意頻拍:常に尿意が襲ってくる状態。
  7. 頻尿:頻繁な尿意のために足繁くトイレで排尿すること。
  8. 夜間頻尿:就寝してから排尿のために、何度もトイレに足を運ぶこと。
  9. 尿混濁:黄色透明の正常な尿が混濁し汚れた状態。

検査

診断のためには、排尿障害の程度、前立腺の大きさ、前立腺癌との区別が必要になる。

  1. 尿検査
  2. 超音波エコー検査
  3. 尿流量測定ウロフロメトリー検査
  4. 残尿量測定検査
  5. PSA血液検査(前立腺癌腫瘍マーカー)
  6. 内視鏡検査

治療

患者の体力や社会的適応などにより、様々な治療法が選択される。日帰り手術(3〜5)を選ぶ患者も多い。

  1. 内服薬:
    1. 交感神経α1遮断薬(商品名ハルナール・アビショット・フリバスなど)
    2. 抗アンドロゲン剤(商品名 プロスタール錠25・L錠、パーセリン錠25)
    3. 植物エキス(エビプロスタット、セルニルトン)
  2. 注射薬
  3. 高温度治療
  4. レーザー光線治療:ILCP(前立腺組織内凝固術)、VLAP(ビデオ直視下前立腺蒸散術)
  5. 電気メス治療:経尿道的前立腺切除術(TUR-P)
  6. 開腹手術
  7. 民間療法:ノコギリヤシ

ヒト以外での前立腺肥大症

5歳以上の犬で見られることが多い。原因として加齢に伴うアンドロゲンとエストロゲン分泌の不均衡が考えられ、食欲不振、体重減少、血尿、排便困難を示す。治療には精巣摘出術や抗アンドロゲン製剤の投与が行われる。

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